有機農業についての思い JAS有機農家 田辺真三さん

JAS有機農家 田辺真三

2005年01月23日

JAS有機農家 田辺真三

 私が最初に農業をしようと思ったきっかけになったのは、私の父が有機農業を始めて30数年になります。

 父の姿を見ていく中で有機農業は、普通の農業とまったく違うものという認識を学生時代から持つようになっていました。

 まずは環境問題、環境保全・環境保護という面で、農薬を使わない農業は大変ですけどある意味では素晴らしいものだと感じるようになっていきました。

 私が農業を学ぶ中で、慣行農家などに行ったり研修したりして、色々学んできましたが、やはり人間が食べていく農作物を育てている大地に対して農薬をまいていく行為が本当に、生産物を採ろうとする手段として必要なのだろうが、現状のそのような行為のなかで真の農業がやっていけるのかな、農薬をやり化学肥料をあたえ作物を育てている、現状の農業の矛盾を目の当たりにしました。

農業というのは、自然・生物と共存し一体化することが本当の農業のありかたではないかと感じました。そんな農業を地道にやってきた父親や福山わかつちの会のメンバーの人たちと語り合うなかで有機農業が必要であるし、この農業は続いていかなければならない、農薬を使わない農業が正しい農業であり本当に理想の農業であると感じました。

 しかし、理想だけではやっていけない面もあります、お客様があって私たち農家の生活があります。
 だから重要なことは、私はこのような農業をやりますよということを、消費者の人達に理解していただくことであり、消費者の人達とのつながりがないとこのような農業は成り立っていきません。

 このことを前提にして、産消提携という形でかたつむりの会を運営しています。年初めにこれだけの量が欲しいですと伝えていただき作付けを行う。私たちは安全なものを作り、会員の方々に購入していただく。

会のイベントには農業体験もあります。消費があって生産がある流れを作ろうじゃないかという動きが、私たちがやっている会なのです。

 今まではかたつむりの会で成り立ってきた有機農業ですが今は一般の人も関心がでてきました、これからの時代はもっと枠をこえたつながりが必要になってくると考えています。

 かたつむりの会以外の人も、生産を頼まれたりすることもありますし、つながりをつけたいと思ってくる消費者の人達の考えも聞きながらどこまで有機農業に対する思いがあるかものすごく重要に感じますし、その人達と一緒に考えを共有する部分が必要に感じます。

 無農薬・有機農業はとてもシビアですし、自然に対して、決して私達は作物を作っているとは思いません、私達も自然の中の一部でありどれだけ自分が自然を感じてその中で自然・害虫に対処できるか、虫の生態から微生物の生態まですべて理解していないと対応できないと思います。そういう部分を大事にしています。

JAS有機農家 田辺真三さん 記事

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有機農業についての思い JAS有機農家 田辺真三  私が最初に農業をしようと思ったきっかけになったのは、私の父が有機農業を始めて30数年になります。 父の姿を見ていく中で有機農業は、普通の農業とまったく違うものという認識を学生時代から持つようになっていました。 まずは環境問題、環境保全・環境保護という面で、農薬を使わない農業は大変ですけどある意味では素晴らしいものだと感じるようになっていきました。
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これからの展望 JAS有機農家 田辺真三  今、海外から安い農産物がどんどん輸入されています。日本の自給率が欧米各国と比較すると低い状況にあり、食糧依存型は万が一海外でなにかあった場合、今の生活すら成立しない状況にあるとおもいます。だから農業が自分の国で成り立たないということは、国として成立しないことを意味します。ましてや、日本の農業従事者の平均年齢は60歳以上であり、21世紀の後半は農業も成立しない情況となり、国家も成立しないと考えています。今までは、ひとそれぞれ分業があり、社会が成り立ってきましたが、本当の意味で農業の重要性を見直す必要があると感じます。農家を支える、一般の消費者の人も農家があって食べ物が食べられることを大事に見てほしい、スーパーに行けば農作物があるのではなく、生産者がいて農作物が出来ているのだと! 戦前・戦後の時代にかえってきたのではないかと感じます。経済の成り行きしだいですし、貿易に問題が発生した場合どうにもならないのが現実だと感じます。
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有機農業を思う JAS有機農家 田辺真三  草の中でもそこそこの野菜が取れるです、草と虫と全てが共存しているし 一つの虫でも排除しようと思った時から薬がいるです
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かたつむりの会の歴史 JAS有機農家 田辺真三 田辺さんの父親の省三さんが有機無農薬で農業を始めた1960年なかばは、高度成長期の真っ只中でした。 農薬と化学肥料で生産効率のよい農業が主流となり、少量生産の有機無農薬野菜は売り場の確保にもこまる状況でした、そのため省三さんは農作物を会員性で消費者に直接販売していました(1976年)。 そのシステムがかたつむりの会の前進となったのです。
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かたつむりの会について JAS有機農家 田辺真三 消費者と生産者の交流を通じて、田舎のすばらしさ、農業の大切さ・食の安全性を発展させることを目的として、広島県神石周辺の農家(現在10戸)と福山・尾道などの消費者を結ぶ会として発足しました。消費者と生産者の直接交流かたつむりの会は農産物の売買のほか、消費者と生産者が直接交流しあうことを大きな目的としています。会員の方々とのつきあいもやっぱりスローで、うっくり長くを目指しています。